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- THE LAST OF MOHICANS -
「ラスト・オブ・モヒカン」(1920・1992年)
フレンチ・アンド・インディアン戦争(1755〜63年)と皮脚絆物語
Updated 8.8.1999 / 

《映画データ》
モヒカン族の最後 1911年(製作会社パワーズ)
モヒカン族の最後 1911年( 〃 サンハウザー)
 
モヒカン族の最後 1920年(110分) the Last of the Mohicans
 監督:モーリス・トゥールヌール
 脚本:ロバート・A・ディロン
 撮影:フィリップ・R・ドュ・ボイス
 出演:アルバート・ロスコー、 バーバラ・ベッドフォード 他
 
モヒカン族の最後 1922年独 主演:ベル・ルゴシ
( 連 続 活 劇 ) 1932年 出演:ハリー・ケリー他
モヒカン族の最後 1936年 The Last of The Mohicans 出演:ランドルフ・スコット他
ザ・ラスト・オブ・ザ・レッドメン 1947年 出演:ジョン・ホール他 
モヒカン族の最後 1965年独 出演:ハラルト・ラインル他
モヒカン族の最後 1972年英BBC(TVM)
モヒカン族の最後 1977年(TVM) 出演:ジェームズ・コンウェイ他
 
ラスト・オブ・モヒカン 1992年(112分) the Last of the Mohicans
 監督:マイケル・マン
 撮影:ダント・スピノッチ
 音楽:トレヴァー・ジョーンズ、ランディ・エデルマン
 出演:ダニエル・デイ・ルイス、マデリーン・ストー 他

 17世紀の初頭から始まった欧州列強による北アメリカ大陸の植民地化も、18世紀に入ってヨーロッパでスペイン継承戦争、オーストリア継承戦争、七年戦争などの同盟国同士の戦争が始まると、敵対していたイギリスとフランスの戦いが、北アメリカ植民地にも飛び火し、それぞれの植民地同士の戦争となった。

 そしてヨーロッパでの七年戦争(1756)よりも1年早い
1755年、フレンチ・アンド・インディアン戦争が勃発、大陸東海岸から開拓を進め、アパラチア山脈を越えようとしていたイギリス植民地勢力と、毛皮交易進展に伴ってセント・ローレンス川から五大湖、ミシシッピ川経由でニュー・オリンズに至る水路を確立し大陸縦断支配を目指すフランス勢力が衝突した。

 映画の後半、イギリス軍の撤退に際し、フランス側が危害を加えないことを条件に、イギリス側が要塞を明け渡すことで休戦条約を結ぶことになる。ところが翌朝、要塞から退去するイギリス軍とその家族の長い列に、血に狂った
ヒューロン族が一斉に襲いかかった。これが歴史に残る有名(アメリカで?)なウィリアム・ヘンリー要塞の大虐殺である。

 映画の原作となったのは、上記のような植民地時代から建国期にかけての北アメリカ大陸を舞台にした、アメリカ生まれの作家ジェームズ・フェニモア・クーパーの連作小説
「皮脚絆物語」(Leather-Stocking Tales 1823-1841)の一編「モヒカン族の最後」。この「皮脚絆物語」の主人公は、大自然を住みかとする射撃の巧みな白人猟師ナッティ・バンポー(鹿皮の服と脚絆を身に着けているので仇名が「皮脚絆」)。

 1920年に映画化されたときは、原作通り白人の猟師として登場したが、最新作では、モヒカン族の首長に育てられた白人の移民の孤児という設定で、インディアンからは「ホークアイ(鷹の目を持つ男)」と呼ばれている。

 ここでちょっとモヒカン族について。
モヒカン族とは北アメリカ大陸北東部、ニューヨーク州のハドソン川上流、キャッツキル山地に住んでいたアルゴンキン語族のインディアン。モヒカンとは「オオカミ」を意味し、世襲の首長に率いられた五集団に分かれていた。白人入植者やイロコイ(モホーク族など6部族連合)他のインディアンとの戦いの結果、人口が減り、一部はデラウェア族に吸収され、一部はマサチューセッツ州に移住しストックブリッジ・インディアンと呼ばれるようになった。その後、ウィスコンシン州の保留地へ移った。

 このハドソン川流域を含む北米大陸大西洋岸の北半分から、五大湖地方の東半分へかけては、白人との接触が早くから始まる地域で、モヒカン族の他、
イロコイ連合(東からモホーク、オナイダ、オノンダーガ、カユーガ、セネカ、タスカローラの6部族)、ポーハタン、ヒューロン、デラウェア、オタワなどのインディアンが住んでいた。

 さて最新作の映画は、1757年イギリス軍のウィリアム・ヘンリー要塞を守備しているマンロー大佐の娘コーラと、モヒカン族に育てられた白人青年ナサニエル(ホークアイ)の激しい愛を軸に、インディアンを巻き込んだイギリス軍とフランス軍の熾烈な植民地戦争を描いた歴史ロマン(ロマンス)として、日本では若い女性層を多く動員してヒットした。原作及び旧作とは、モヒカン族の最後の首長の息子アンカスと長女コーラの悲しい恋となっていたところが異なる。結構その辺がヒットの要因かも....。


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