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"THE WILD BUNCH"
WARNER BROS. |
| ★ブローニング・マシンガン，カリバー.３０，モデル・オブ１９１７A１ |
| 製造：1917～1937年頃（A1及び改良・強化型含む） |
| 全長：97.8cm 重量：38.9kg（三脚を含む） |
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★どの分野にも天才は現れるもので、銃器の設計の世界では、独学で約１３０件ものパテントを取得したジョン・モーゼス・ブローニング（１８５５～１９２６）
こそが、まさに天才と呼ぶのにふさわしいのではないでしょうか？ 「ワイルドバンチ」の映画史に残る未曾有の大銃撃戦の直前、黙々と武装するパイクらの装備を見てみましょう。スライド・アクション・ショットガンのウイ
ンチェスターＭ９７、レバー・アクション・ライフルのＭ９２、米陸軍が最初に制式採用した自動拳銃Ｍ１９１１…コルトＳ.Ａ.Ａ.を除いては、いずれもブローニングが設計に関わった銃器です。
他に、「夕陽のギャングたち」でジョンがファンに貸し与えたブローニング・
ハイパワーも、「ルパン三世」でふ～じ子ちゃんがガーターベルトに挟んでいる
Ｆ.Ｎ.１９１０も、「コンバット」でカービィがいつも手にしているＢＡＲも、
“サラエボ事件”でセルビア人暗殺者が使ったＭ１９００も、全て彼が設計に携わりました。軍用銃や拳銃ばかりでなく、彼は上下二連のスポーツ用散弾銃や自動散弾銃、.２２口径のターゲット・ピストル等、ありとあらゆるタイプの銃器を設計しております。そして「ワイルドバンチ」のもう一つの主役とも言える重機関銃が、今回取り上げる、ブローニング水冷式マシンガンＭ１９１７です。
このＷＩＤＥ ＷＥＳＴ ＷＥＢのＷＥＢマスターであるＧＯＧＨさんが、かつて
ＢＢＳで“西部劇復活を考える”と題して、こう書き込んでいました。『…いまや、
アクション映画、特にガン・アクションには、スピードと物量が不可欠なんですね。
「マトリックス」のスピード感と弾丸の量は凄いです。あれだけのシーンを演出するには、もはやマシンガンでないとできないのでしょうね。とても６連発じゃ出来ないじゃないかと思いました。…（中略）…こうやって考えると「ワイルドバンチ」
でマシンガンが出てきた時に、やはりアメリカ西部劇も終わっていたのでしょうか？』
私がスクリーンで「ワイルドバンチ」を最初に観たのは今は亡き池袋文芸座にお いてですが、映画終了間際の休憩室で待っている時でさえ、その重機関銃の迫力ある銃声はロビーにこだまし、次の上映時間を待つ観客たちを驚愕させていました。
それは今までの西部劇では馴染みのない、フルオートマチックの大口径機関銃が発する連続射撃音だったのです。６連発はおろか、手回しのクランクによるガトリン
グガン等とは全く異なるその大迫力の音響は、西部劇のみならずこの作品以降のガ
ンアクション映画の歴史を塗り変えてしまいました。
★アメリカ軍が第１次世界大戦に備え、ブローニングが１９００年に試作した反動利用のマシンガンに注目、発展・改良させたのが、ブローニング・マシンガン
カリ バー.３０モデル・オブ１９１７です。アメリカ陸軍が制式採用する際のマキシム・
ビッカース・マシンガンとの比較試験で、このブローニングの水冷式マシンガンは、
４８分１２秒もの間故障・停止することなく弾丸を発射し続けたと言います。フランス戦線に実戦投入されたＭ１９１７は、さらに１９３０年代に陸軍造兵廠
で改良を加えられ、ブローニング・マシンガン
カリバー.３０モデル・オブ１９１７Ａ１となりました。
映画に出てくるマシンガンを見てみましょう。レシーバー下部に追加された強化板とリベット、独特な射撃角度調整板を備えた三脚などから、「ワイルドバンチ」 に出てきたブローニング水冷式は、Ｍ１９１７Ａ１である事が判ります。時代考証
を考えるとちょっと違う気もしますが（かなり違うぞ）、まあ遠目には判りっこありません。映画では、ジャミングするとちゃんとコッキング・レバーを引いて不良弾をエジェクトする等、なかなかリアルな使い方をしています。マキシム機関銃とは異なるピストル・グリップを握りしめたまま死んでいったパイクの姿は、涙なく
しては観れません。（ちなみにマカロニウェスタンでは、「暁の用心棒」「夕陽の
ギャングたち」等、マキシム機関銃の出番の方が多いです。）
映画「ワイルドバンチ」は、滅びゆくアウトロー達への挽歌を切々と描いた、サム・ペキンパー監督の傑作でした。ラストシーンで、ロバート・ライアン扮する元
仲間の追跡者ディークが、死んだパイクの形見であるコルトＳ.Ａ.Ａ.を抜き取るシーンがあります。映画を通して１発も弾丸を発射する事のなかったその西部劇ゆかりの銃の事、実際にメキシコ革命で使われた量をはるかに凌ぐと言われている、
当時の近代兵器（ブローニング設計のマシンガンや自動拳銃）から発射された弾薬
の量を考えますと、間接的にではありますが、パイクらを過去へと追いやったのは画面には出てこないジョン・Ｍ・ブローニングだったのかもしれませんね。 |
| by 蔵臼金助 |
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