| 【登場人物】 |
 この作品は、南北戦争で南軍騎兵師団の指揮官として名を馳せたジェブ・スチュアートの若き日をエロール・フリンが演じたものである。共演は、恋人キット役にオリヴィア・デ・ハヴィランド、親友カスター役は後に政界入りし大統領にまでなるロナルド・リーガン、敵役レイダーに「シェーン」のヴァン・へフリン、重要な登場人物ジョン・ブラウン役にレイモンド・マッシーなどである。
フリン演じる主人公ジェブ・スチュアートは、本名ジェームズ・イーウェル・ブラウン・スチュアート(James
Ewell Brown Stuart 1833-1864)、名前の頭文字をとってJ.E.B.、ジェブと呼ばれていた。1833年バージニア州パトリック郡で生まれた生粋のバージニアン。後にウエストポイントの陸軍士官学校に入学、1854年卒業している。卒業時の校長が後の南軍総司令官ロバート・E・リー（Robert Edward Lee 1807-70）である。
映画の中ではウエストポイントの同級生として７人が登場する。その７人とは、ジェブ・スチュアート、ジョージ・Ａ・カスター、ジョージ・ピケット、フィル・シェリダン、ジェームズ・ロングストリート、ボブ・ホリディの６人と、途中除隊させられるカール・レイダー。ホリディとレイダーは架空の人物のようである。ただし他の者も、ロングストリート（James Longstreet 1821-1904）は1821年カロライナ州生まれで、ウエストポイント卒業は1842年。カスター（George Armstrong  Custer 1839-76）は、1839年オハイオ州ニュー・ラムリー生まれの1861年卒業であるからジェブ・スチュアートと同級生というのは相当無理がある。同級生というのはあくまでも映画でのお話。
その後、この5人は南北戦争（1861-65）で将軍として北軍、南軍に分かれて戦うことになる。それを暗示するインディアン占い師の場面が中盤に登場する。例えば、ゲティスバーグの戦い（1863）では、スチュアート、ピケット、ロングストリートは南軍、カスターは北軍で参加、ピケット（George Pickett）は有名な横隊突撃で師団が壊滅し（映画「ゲティスバーグの戦い」）、スチュアートとカスターはハノーヴァー街道沿いで激突する（映画「壮烈第7騎兵隊」）。そしてその翌年1864年、スチュアートはイエローターバンで再びカスターと戦うこととなり致命傷を負い、5月12日リッチモンドの病院で帰らぬ人となる。
 ただしこの作品ではそこまでは取り上げず、ウエストポイント卒業からカンザス準州のレブンワース砦への赴任、ジョン・ブラウンによるハーパース・フェリー兵器庫襲撃事件（1859年10月）での活躍までが出てくる。レブンワース砦は、ニューメキシコ準州サンタフェへの街道（サンタフェ街道：Santa
Fe Trail ）の起点インディペンデンス（ミズーリ州）にも近く、この街道沿いに1880年サンタフェ鉄道が施設される。
ジョン・ブラウン（Jhon Brown 1800-59）はカンザス準州を中心に過激な奴隷反対運動を展開していた狂信的奴隷制反対論者。彼らの運動が南北戦争の一要因ともなっている。特にこのカンザス州や、隣のミズーリ州はボーダーステイツ（南北境界の州）と呼ばれ、奴隷制賛成派・反対派の双方が過激な活動を展開し、ジェイホーカー（北軍派ゲリラ、映画「赤い砂塵」）と、ブッシュワッカー（南軍派ゲリラ、映画「楽園をください」）が凄惨な殺し合いを繰り広げた。
ｂｙ ＧＯＧＨ |
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